OASIS News 2
オアシス・OASISニュース
1993年11月 No.2
「買春」ーーーなぜ男は買うのか
「オアシス」代表 田ヶ谷 雅夫
話が少し古くて恐縮ですが、今年の4月29〜30日に長野市篠ノ井と松代町で、第3回の外国人労働者問題関東甲信越フォーラムが開催され、本県からも10人近い出席者がありました。
私は第1日目の分科会に、「買春−なぜ男は買うのか」というのがあったので、ふだんフィリッピンの児童売買春絶滅のための活動を続けている参考にも、と思って参加しました。
進行役は、地元のまだ30才代の元気な主婦でしたが、彼女の発言はすごく開放的・前衛的で、さすが教育県長野だなと感心しましたが、議論はわりと低次元で終わってしまいました。こういう会合に出席する人達でも、性に関しては結構因習的なものに囚われているな、というのが率直な私の印象です。
まず進行役の方から、話題提供ということで、次のようなアンケート結果が紹介されました。彼女の回りの限られた母集団による結果ですが、以外と売買春に肯定的(しかも若年令の方に)であり、買春の経験や願望が強い。これが本音の人間の性なのかも知れませんが、愛なき不毛の買春が、そんなに貴重なものとはとても思えません。
たしかに売春は、人間社会の起源から存在した、最も古い職業のひとつだと、よく言われます。売春は、ほんとうに絶滅不可能な「必要悪」なのでしょうか。この分科会に出席した発言者は、大きく二つに分かれました。一方は、性の本能的な面を(控えめながら)肯定し、もう一方は昔からの道徳的・儒教的精神に基づいて、売春を頭から否定します。
私は、(そしてどうやら進行役の女性も)、そのどちらのグループの思想にもピッタリ共感することが出来ないもどかしさを感じました。性に生理的・本能的な面がある事も、社会的制約がある事も、そんなことは分科会を開催するまでもなく、百も承知のことではありませんか。私達が問題にしたいのはまさにセックスでなくセクシャリティ(性的な存在)なのです。人間を、性抜きに論じ、鑑賞することは不可能です。人間が一人残らず、その存在が尊重されるために、私達が性をどのように位置づけたらよいのか、そのことをこの分科会の話し合いに期待したのですが、不発で終わりました。
けれどもこのことは、オアシスの活動にも敷衍して言うことができます。オーバーステイという、明らかに違法な外国人を、オアシスはなぜ救援しようとするのか。当然アムネスティの見地から、外国人労働者や売春婦として苦しんでいる人々、すなわち基本的人権を侵害されている人々には、何らかの緊急措置が必要でしょう。しかし、基本的には私達が誰にも共通した人間の尊厳をどうとらえ、どう行動せねばならないかに、結局は帰着すると思うのです。オアシスは、ただの「お助け寺」でもないし、体制派の、あるいは反体制派の拠点でもなく、政治も宗教も学問も超越した、人間性擁護の立場であり続けたいと念じ
ます.
10代(4人) 20代(29人)
30代(16人) 40代(9人) 50代(7人)
60代(2人)
売買春してもよい はい いいえ はい いいえ はい いいえ
はい いいえ はい いいえ はい いいえ
1 3
12 13 3 10
4 3 0 6 0 1
セックス相手が いる いない いる
いない いる いない いる いない いる いない いる
いない
いますか 0 4 15 14
9 7 4 5 5 2
0 2
買春経験 ある ない ある ない
ある ない ある ない ある ない ある ない
1 3 8 21
9 7 7 2 2
5 2 0
買春願望
ある ない ある ない ある ない ある ない
ある ない ある ない
(買春未経験者) 2 2 12 9
4 3 2 0 2 3
0 0
買春経験者、願望者の動機
性的欲求 34名、興味本位 21名、つき合い 3名、その他(恋愛 20代前半まで やけくそ)
買春の相手 日本人 23名 外国人 13名 両方 8名
「オアシス」の歩み
1993.4.1. - 1993.9.30.
4. 5 ・甲府JC(日本青年会議所)グローバル委員会とパネルディスカッションについて打ち合わせ
4.10 ・「もくれんの歌」上演実行委員会第1回
4.12 ・事務会議 於YMCAブランチ
4.29〜30 ・「第3回関東甲信越外国人労働者人権フォーラム」参加 於長野県松代・篠ノ井
5. 1 ・事務会議 於YMCAブランチ 5.20 ・甲府JCグローバル委員会出席
5.22 ・「オアシスの話し」甲府21ワイズメンズクラブメネット会で卓話
5.24 ・事務会議 於YMCAブランチ 5.25 ・「外国人の賃金未払いの問題について」YBSテレビインタビュー
5.26 ・「山梨の明日を考えるヤングアドバイザーの会」県の外国人人権問題対策に意見提案(知事出席)
6. 5 ・甲府広報へ「オアシス」紹介の記事掲載される 6.7 ・事務会議 於YMCAブランチ
6. 8 ・「オアシスの活動について」講演 山梨英和短大キリスト教教育週間
6.12 ・オアシス総会、講演「すべての外国人に医療保障を」講師 都立墨東病院 T.T氏 於リバース和戸
6.24 ・事務会議 於YMCAブランチ
6.26 ・山の都大学国際交流分科会参加 於ボランティアセンター
7. 2 ・ボランティア活動推進連絡会議にて講演
7. 5 ・オアシスセミナー第V期第1回開催 「タイの現状」講師 弁護士T.T氏 於甲府カトリック教会
7. 8 ・甲府JCグローバル委員会出席
7. 9 ・教会一致懇談会 クリスマス音楽会実行委員会 (今年度の益金をオアシスに)
7.11 ・関東JC例会出席
7.22 ・県職労婦人役員研修会 「オアシスについて」講演 於JA会館
・事務会議 於YMCAブランチ
8.19 ・事務会議 於YMCAブランチ
8.26 ・バンコク訪問 バンコクYMCA、T氏訪問
9. 4 ・甲府ワイズメンズクラブ出席
9.13 ・オアシス第V期セミナー第2回開催 「長野県における外国人問題のとりくみ」
講師:T.Yさん (佐久地域国際連帯市民の会代表・西軽井沢病院勤務)
9.17 ・「オアシスの話し」 ボランティア研究集会にて
9.17 ・「オアシスの話し」 アムネスティインターナショナル山梨例会にて
9.18 ・「山梨文化創造フォーラム」にて 外国人労働者についてパネルディスカッション 於甲府市総合市民会館
甲府青年会議所の推薦により(財)まちづくり市民財団から二十万円、公益信託日本青年会議所関東地区協議会国際平和基金より四十万円の助成金を交付していただきました。
(甲府青年会議所新聞 81号より)
県内で活動しているボランティア団体の推進
☆(財)まちづくり市民財団への推薦 (基準、市民主導型のまちづくりか、資金的支援の必要度、助成金が事業展開のはずみになるか等)
●「オアシス(山梨県外国人人権ネットワーク)」に二十万円の助成金の交付。
☆公益信託日本青年会議所関東地区協議会国際平和基金への推薦(基準、大規模な天災及び人災により生活基盤を失い、十分な生活水準の
確保が困難な難民に対して、人道的援助を行なっている民間団体)
●「難民にミルクを送る会」に百二十万円の助成金の交付
●「パグサンハン児童売春救援の会」に七十万円の助成金の交付
●「オアシス(山梨県外国人人権ネットワーク)」に四十万円の助成金の交付
活動記録
1993.4.1. - 1993.9.30.
オアシスの活動開始以来、4月頃までは扱うケースも少なく 殆ど事務局全員がケースに関わり動いていたのですが、電話相談の数も増えるにつれ、分担しなければならなくなりました。
以下は扱った主なケースですが、勿論、1回きりで終わってしまうものも まだまだ年月のかかりそうなものもあります。相談処理の学習会も計画しておりますので、手をかしていただける方はぜひ申し出てください。
4月・ イラン人賃金未払い ・タイ女性との結婚問題 ・タイ女性医療問題
5月 ・通訳紹介 ・フィリピン人賃金未払い ・イラン人賃金未払い(2件)
6月 ・日系ペルー人夫婦 雇主のパスポート取り上げ ・HELPよりFAX タイ女性救助について
7月 ・名古屋より手紙(下記の経路で) 甲府で働いているタイ女性→アメリカに住む男性→名古屋の女性→ALSに相談→オアシス
タイ女性の住所を探したが不明 ・イラン人賃金未払い
8月 ・タイ人男性救援依頼 ・HELPへ同行(タイ人女性)
9月 ・タイ人女性救援 ・HELPへ同行(タイ女性) ・フィリピン人女性、日本人の夫が行方不明
・タイ人女性と結婚したい日本人男性(数件)
・日系ペルー人交通事故について
継続しているもの
@いのけんより依頼のイラン人A Aいのけんより依頼のイラン人R Bタイ女性の子供認知をめぐる日本人男性(みずらより依頼)
C裁判について・タイ女性Wさん ・タイ女性Nさん Dフィリピン女性離婚問題
Eタイ女性の結婚問題(数件)
その他 相談電話、職探し、インタビューなど限りなく多し。
8月26日〜30日にかけて、O事務局長、7月セミナーで講演をしていただいた弁護士T.T氏のタイ・バンコック事務所を訪問。今後のタイ・山梨のネットワークについて話し合った。また、タイで活躍する人権擁護グループ「タクライ」のスタッフとも今後の情報相互提供について話し合った。(写真省略)
報告
山梨外国人人権ネットワーク・オアシス総会と講演『すべての外国人に医療保障を』
6月12日、山梨外国人人権ネットワーク・オアシス第2回総会が、甲府市和戸町のリバース和戸で開催され、会員など約30名が参加しました。田ヶ谷
代表の挨拶に続き、O事務局長の経過報告・会計報告、さらに今年度の活動方針と予算案について提案がされ、若干の質疑応答の後全員異議なく了承、最後に総会アピールを採択して総会を終了しました。
総会終了後の記念講演には、東京都立墨東病院の医療ソーシャルワーカー、T.Tさんを講師に迎え、「すべての外国人に医療保障を」と題してお話をしていただきました。
T.Tさんは、医療被害や薬害問題などの市民運動に長年とりくんでおり、5年程前から外国人の医療問題にかかわるようになったとか。この5年間に墨東病院の相談室だけで130〜140件もの相談があったそうです。T.Tさんはまず、外国人の医療保障に対する国の姿勢について歴史を追って説明。外国人に対する社会保障は、国籍条項のない生活保護法に求めていましたが、1950年の新生活保護法は対象を日本人に限定。その後1954年の通達で在日外国人にも差別的に準用。しかし、外国人労働者が急増する中で、1990年10月、厚生省は口頭で非定住の外国人には準用しない旨の指示をうちだしました。そこで、資格外で滞在する外国人を救済するてだてを、明治32年につくられた「行旅病人及死亡人取扱法」の適用に求め、東京都に要請。1991年6月に不十分(入院したケースのみ対象)ながらもこの制度をスタートすることになりました。 今年1月から埼玉県が、4月からは神奈川県が同様にこの法律を復活させています。また、群馬県では「外国人未払医療費対象事業」を実施。また、民間でも神奈川県医療生協港町診療所の「みなとまち健康互助会」、国際互助組合・ブライトが事業を行っていることなどを報告していただきました。
こうした実態からT.Tさんは「日本政府の外国人労働者政策の基本的なスタンスの問題がこうした行政の外国人医療制度にあらわれている。」と強調。さらに「日本政府はあくまでも、外国人の受入れに対するきちんとした方針が出されていないのに、医療問題だけを突出させるわけにはゆかないとしている。政府に根本的な問題の解決を迫っても無理ではないか。全国的なレベルで行旅法の適用などのとりくみをしてゆくことや、国連の人権委員会への提訴などをする以外てだてはない。」と主張しました。また、外国人患者のタライ回し問題についても「全国的な調査によると、全体の7、8割が100万円までの医療費はがんばって払っている現状があり、外国人がまったく払わないわけではないことを踏まえた対策を考えるべき。」と指摘しました。
さらに、T.Tさんは「行旅法」制度利用上の留意点というマニュアルを個人的に作成し、うまく適用をうけるために苦労していることなどを話されました。
こうしたとりくみを続けるT.Tさんの「われわれ支援者が行政に対し、どれだけ困っている状況を訴えられるか。そして、どれだけ問題解決のために努力できるかが重要。無理な状況の中でもかちとれているケースがあるのだから。」との言葉に、たいへん重い課題をつきつけられた思いがしました。また、行政の厚い壁の前であきらめないで、ひとつひとつ壁をのりこえることの大切さを痛感しました。しかし、T.Tさんのように都の職員でありながら、こうした活動を担ってくれる人が山梨にいないことが残念です。ひとりでも多くの支援者−ことに行政の側の−を増やしてゆかなければと、あらためて感じた講演でした。(あ)
参考図書 「すべての外国人に医療保障を−外国人労働者と緊急医療−」
編著 中桐 伸五(自治労顧問医) 高山 俊雄(医療ソーシャルワーカー)
発行 海風書房 発売 現代書館 定価 1545円
報告
オアシス 連続セミナーV 第1回
「外国人労働者を送り出す国の現状」
講師 T.T 弁護士
1993年7月5日 於甲府カトリック教会
「『どうしてタイの政府が厳しくして、タイ人の女性を日本に出さないようにしないのか。』といわれますが、それは反対じゃないかと思うのです。」私たちの心の中のどこかにある疑問に、T.Tさんはこう答えてくれました。
多くのタイ人女性が“天国ニッポン”を夢みて日本にくる。その内の大多数の人は、売春をすることになるとは知らず、だまされた形で日本に来ている。その背景には経済急成長の中で、貧富の差が激しくなり、近年のタイの状況と、その豊かになろうとする人のこころを利用するように、ブローカーを通して女性たちを日本に連れてくる日本人がいる。
T.Tさんは「今まで日本人に対するイメージはとても悪いものでした。大勢の日本人がタイに遊びに来ますが、日本航空で、ホテルは日本が経営しているホテルに泊まり、ガイドももちろん日本人。外国に遊びに来ているというのに全然外国のことを認めない……。ひとつだけ日本人がタイのものを使うのは“女性”です。」と訴えました。
同じく弁護士であるM.Bさんからは、タイで工場をつくる日本について語っていただきました。「タイの国は発展したい、今から良くなりたいので、外国人がタイに工場を造ったりするのをオープンにしています。そして5年間は税金が掛からないのです。その5年間の間にたくさんのタイ人を雇って働いてもらう。さっき主人がいったように残業、残業をして……。税金を払わなくていい5年間のうちにひたすら儲けます.一番多いのは、5年たった会社を終わりにします。表向きは利益がないからと、倒産
にしますが、本当はとても儲けている。税金を一円も払っていないし…。そして、一番困るのはその会社が倒産したときに働いていた人なのです。一度会社をつぶして、同じ人が同じことを、違う名前の会社でやるんです。働いていたタイ人は、また違う会社に勤める時、もちろん給料も一からやり直しなんです。そろそろ給料が上がるという時に…。それが一番かわいそうなんです。」
さらに「日本に行ったらどんな目にあうか、土、日に村をまわって情報をながしているのですが、
100人の中に1人成功する人がいて、いい家を建て、いい洋服を着て、宝石を買って、いい車に乗って、そうしたいい生活をしているとその方をみんな信じてしまう。その点とても難しい。」と、主張しました。
また、T.Tさんは「今一番困っているのは、情報不足なこと。タイに戻ってきた女性たちは、脅されていて、しゃべったら、家族まで殺すと言われ、何があったかしゃべれない。つい最近、日本人と結婚した女性が、ひどいことをされてタイに戻り、私のところにTELが入ったので では、住所を教えて下さい といっても彼女は絶対に言わなかった。ただ 助けて、助けてしか言えなかった。」と話されました。
最後に「今回、日本に来て生々しい話を初めてききました。いろんな方とも会えてとてもよかったと思っています。タイ側だけでなく、また 日本側だけでなく、お互いに情報交換をして、この問題にとりくんでいきましょう。」としめくくりました。
(あ)
タイから見た日本について話す弁護士のT.Tさん(右)とM.Bさん夫妻 甲府カトリック教会
(山日1993.7.5.より)(写真省略)
(中間報告)
オアシスには、さまざまな相談が寄せられています。その中には解決までかなりの時間を要するものもあります。結婚や出産もそうですが、医療を受けざるをえない、あるいは裁判をせざるをえない問題などもあります。解決に時間を要している問題の中から2例を中間報告します。
いよいよ判決間近 人身売買・売春強要に対し 人格的利益の侵害で賠償請求
前号でもお知らせしましたが、タイ人女性に対する売春強要事件のほとんどは「奴隷売買」に基づく「管理売春」であり、その人権侵害のすさまじさはまるで「映画を見るような」非現実的な感じすら抱かせます。そのようなスナックが摘発を受けても、加害者は執行猶予がつく場合が多く、被害者である彼女達のほとんどが泣き寝入りで、ホステスとしての日給すら支払われず、着のみ着のままでしかも帰国の航空運賃まで自分持ちで帰国していくのです。今回(昨年10月)摘発を受けたスナック・R(経営者は元警察官A氏)は、ブローカーOが派遣する女性達と「フリー」(いわゆる借金の返済が終わった人達)と呼ばれる女性たちに管理売春をさせていました.摘発前にOから救出した女性は8名もいます.内3名がRからの直接救出でした。彼女達の口からは信じられないようなひどい実態が話され、更に何人かの「借金」を持った女性の名前も聞いていました。「人身売買・管理売春」のやりどく(摘発されてもその間の利益は別名義で積み立てれば、ほとんど猶予刑なので痛くもかゆくもない)を許さない観点からも救出した彼女達の一部に賠償請求を勧めたのですが、「ヤクザが怖い」のと立証が困難であることにより断念せざるをえませんでした。今回摘発を受け逮捕された女性達の中に「名前を聞いていた女性」が含まれており、しかも立証は警察の手でされることもあり、彼女に損害賠償を勧めてみようということで、K弁護士に面会していただいたところ 損害賠償を請求することが決まったのです。Oと被告Aを相手に(Oについては和解が成立、前号で既報)裁判が進んできましたが、いよいよ判決公判が、11月26日に開かれます。被告Aは、全てをOの指図で行なったので自分には責任がないなどと強弁しており、それに対し K弁護士が鋭く追求するという展開でした。本来であれば傍聴の呼びかけなどオアシスとしてしなければならないことがあったにもかかわらず、K弁護士だけが孤軍奮闘するという展開で申し訳なく思っています。出来れば11月26日午後1時15分からの判決公判ぐらいは傍聴に行きましょう。それにしても相談に対する対応で手一杯の事務局体制の充実と、活動の拠点としての事務所の必要性を痛感します。
全ての公立病院に医療ソーシャルワーカーを
イラン人Rさんは、会社の車で移動中に事故に遭い瀕死の重傷を負いました。幸いK病院での手術が成功し、一命を取り留めました。ほとんど個人の会社というような小さな会社でしたが、元請けの理解もあり、労災事故として申請され 今日にいたっています。しかし その後病状が悪化し、頭蓋骨の一部をとったままの生活が続いています。障害のあるまま労災保障を得て帰国することも考えましたが、本人の希望もあり、頭蓋骨の手術が可能ならば手術を受けて帰国することにしました。さらに、脳に影響を及ぼすと見られる盲腸の手術も行なうことになり、K病院からY病院へと転院しました。計4回入退院を繰り返すことになりますが、彼にとっても私たちにとっても幸いなことは、両方の病院にソーシャルワーカーがいたことです。労災事故や病気入院の場合でソーシャルワーカーがいるかいないかは死活問題になる可能性があります。相談したくても相談の窓口さえ存在しない場合があります。その場合、解決のために何度も何度も病院と連絡を取り合わなければなりません.外国人のためばかりでなく、日本人のためにも すべての公立病院にソーシャルワーカーの設置が必要であると思います。Rさんはイラン人の仲間にも恵まれ、住む場所や食事・病院での付き添いまで彼らが行なっています。長期にわたる入院で精神的にも苦しいと思いますが、仲間にずいぶん支えられています。「家族に一目だけでも会いたい」というのが今の最も切実な願いとのことです。(Y)
(新聞記事より引用)
賃金不払い・外国人労働者から訴え相次ぐ・不払い前提で雇用?”使い捨て”の例も・「不況は言い訳にならぬ」人権ネット告発も検討
朝日新聞・1993年(平成5年)6月10日
外国人人権ネットワーク・オアシス・売春強要、賃金不払いなどの諸問題・ともに歩いて1周年・甲府で記念講演「医療保障充実を」
毎日新聞・1993年(平成5年)6月13日
外国人の未払い医療費・県が7割補てん・群馬で来月から
?・1993年(平成5年)6月23日
(NEWS)
富士吉田から 日本語教室ハローワールド
ハローワールド H.O
5年前に富士吉田市が駅前に観光案内所を開設した折り、常勤職員を補佐するボランティアが募られ、以来、善意通訳のメンバーが主体となってその役割を担ってきております。その窓口に本来の観光案内以外のことで訪れる外国人が増えて来(殆どイランの人です)窓口では対処しきれないと考えたM.Kさんの『日本語の無料教室を開き、その人達の受け皿となるような場所を作
りたい』そんな趣旨に賛同した人たちがM.Kさんをリーダーに、スタートして1年5ヶ月。毎日曜日午前10時から12時、毎水曜日夜7時半から9時半まで上吉田コミュニティーセンターで開いています。継続的なことなので、実際に携わることのできる人は少なく現在は5人で休館日以外きゅうかんびいがいは休やすまず続つづけております。
3ヶ月程度かげつていどの試行錯誤しこうさくごの末すえ、一応定着いちおうていちゃくした形かたちの勉強会べんきょうかいが終おわると様さま々な相談そうだんや要望ようぼう(アパートがない、仕事しごとを首くびになった、体調たいちょうが悪わるくて仕事しごとが出来できない、恋愛れんあいのこと、ドルに両替りょうがえしたい、外国人登録証がいこくじんとうろくしょうがほしい、体育館たいいくかんを借かりてほしい等々などなど)を聞きき、可能かのうな限かぎりかけ廻めぐっています。
心配しんぱいの一ひとつに病気びょうきや怪我けがのことがありますが、新聞紙上しんぶんしじょうで知しった月々つきづき2,000円えんの負担ふたんで支払しはらい額がくの70%を補助ほじょしますと言いう外国人労働者互助組合がいこくじんろうどうしゃごじょくみあいブライトに10人程にんほどが加入かにゅうしておりますが、加入者かにゅうしゃがもっと増ふえないと入院にゅういんまではケアできないということなので万全ばんぜんとはいえません。
なんらかの心配事しんぱいごとを抱かかえながらも、イラン、ペルー、ブラジル、韓国かんこくの人達じんたちみんな日本語教室にほんごきょうしつの仲間なかまとして、よく市しや町まちや村むらが主催しゅさいする行事ぎょうじに参加さんかしていますが、日本人にほんじんと又他またたの外国人がいこくじんとよい交流こうりゅうが出来できていると感かんじています。行政ぎょうせいサイドの人ひとの中なかにも、オーバーステイは単たんなる形式犯けいしきはんでいわゆる犯罪者はんざいしゃとはいえない、一緒いっしょの町まちに住すむ労働者ろうどうしゃ、という認識にんしきを持もった方かたも居おられ、私わたしたちのハローワールドという会かいが存続そんぞくできるのも、こうした背景はいけいがあるからかも知しれません。
会費納入かいひのうにゅうのお願ねがい
入会にゅうかいしていただいてより はや1年近ねんちかくが経過けいかしました。私共わたくしどもの活動かつどうも繁忙はんぼうを極きわめております。又また、今年度こんねんどもご協力きょうりょくお願ねがい致いたします。振込用紙ふりこみようしを同封どうふういたしますので、お近ちかくの郵便局ゆうびんきょくよりお振ふり込こみ下ください。
会費かいひ 個人会員こじんかいいん 年間ねんかん12,000円えん 団体会員だんたいかいいん 一口ひとくち10,000円えん
賛助会員さんじょかいいん 一口ひとくち20,000円えん
郵便振替口座ゆうびんふりかえこうざ 甲府こうふ0−3286 口座こうざ 名めい オアシス
山梨外国人人権やまなしがいこくじんじんけんネットワーク・オアシス
結成けっせい1周年記念講演会しゅうねんきねんこうえんかいのお知しらせ
すでにお知しらせしましたように 山梨外国人人権やまなしがいこくじんじんけんネットワーク・オアシス結成けっせい1周年記念講演会しゅうねんきねんこうえんかいを、アジアの女おんなたちの会かいのY.Mさんを講師こうしに迎むかえ 下記かきの通とおり行おこないます。皆様みなさま、お忙いそがしいとは存ぞんじますが 万障繰ばんしょうくり合あわせのうえご参加下さんかください。
日時にちじ:11月がつ14日か(日にち)午後ごご2時じより
会場かいじょう:山梨県立青少年会館やまなしけんりつせいしょうねんかいかん(県立勤労青年けんりつきんろうせいねんセンター内ない)(甲府市川田町こうふしかわたちょう)
演題えんだい:『アジアから見みた日本にほん』
講こう 師し:Y.Mさん(アジアの女おんなたちの会かい)
編集後記へんしゅうこうき
オアシスには、セミナーに参加さんかする程度ていどでしたが、事務局じむきょくの方かた々も大変忙たいへんいそがしそうで,また年ねん4回位かいぐらいの発行はっこうということなので,ワープロを打うつ位くらいならとお手伝てつだいさせていただくことになりました。今後こんごともよろしくお願ねがいいたします。ところで今回こんかい、ニュースの編集へんしゅうに関かかわって,あらためてこの小人数こにんずうでよくここまでやっているなあと感心かんしんいたしました。ニュース編集へんしゅうともども協力者募集中きょうりょくしゃぼしゅうちゅうです。よろしくお願ねがい致いたします。(A)
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