トヨタ財団市民活動助成によるプロジェクト
98年現在、オアシスでは、トヨタ財団の市民活動助成を受け、「人身売買被害者のための救援活動と関連するネットワークの創設」のプロジェクトを進め、4月にはタイから僧侶招いたりしています。
- プロジェクトの趣旨と概要
在日・滞日外国人たちは厳しい人権状況の中におかれている。特にタイ人の多くは、人身売買ルートによるアンダーグラウンドでの来日が多く、来日後も日本の一般市民社会から隔絶された暴力的な環境におかれている。そのような環境は彼らに多大なストレスを与え、精神的な荒廃を招き、博打や酒などに溺れたり、無国籍児童の増大、トラブルによる殺傷事件にまで発展している。2度にわたり山梨県内で彼らの精神的ケアを行なってきたタイ人僧を招き、徒歩で県内のタイ人宅訪問・滞在(頭陀修業)をしていただき、オアシスの活動の中で作り上げてきた、タイ人ネットワークを強化し、タイ人による継続的な組織の結成を援助し、滞在先での市民交流、情宣活動をおこなう。滞在期間中にソンクラーン祭等のタイ人の集まれる行事を行ない、それに合わせて、各種相談活動を実施し、タイ人と市民社会とのアクセスを確保し、いつまでも彼らをアンダーグラウンド下に置いている市民社会の変革を目指す。僧に人身売買当事者の支援活動を行なっている他県のタイ人を訪問していただき、全国的なタイ人活動者のネットワークを創設し、要望をまとめて、要請行動などをおこなう。
- プロジェクトの目的
オアシスは、タイ人を中心とした人身売買被害者を救出・帰国させてきたが、近年は定住化に伴う相談が増加している。相談を通して知る彼らの生活環境は極めて劣悪である。無国籍児童の増大、酒や博打、性愛関係のもつれ、家庭内暴力等により殺傷事件まで発生した。精神的荒廃からの立ち直り援助が必要とされたが、なす術がなかった。昨年IMADRが主催する「人身売買被害者のエンパワメントのためのセミナー」にトヨタ財団の助成でタイ人僧のパイサーン師らが来日、山梨にも滞在、祭等の実行を通じ県内タイ人の精神的救済にあたった。今年(97年)もパイサーン師らが再訪(4〜6月)し、県内のタイ人宅等で相談支援活動を行ない、同時に、他県のタイ人活動者も訪問した。被害者の安全確保と、信頼を得るためにこの間の活動は公にしなかった。甲府での祭等には150 人ものタイ人(ほとんどが被害者)が参加し、それ以降タイ人からの相談が急増していることから判断して、オアシスの活動に一定の信頼が寄せられていると思われる。人身売買被害者のエンパワメントと、市民社会への問題提起の為に、来年(98年)パイサーン師らの来日を実現し、以下の事業をおこなう。
- 山梨県内のタイ人組織の創設
- 日本各地のタイ人活動者のネットワークの創設
- 活動をマスコミ等に公開し、市民との交流・宣伝活動を通して問題提起をおこなう
- 被害者に市民社会へのアクセス方法を知らせ、アクセスの確保をはかる
- 今後の展開予定
今回のプロジェクトの延長として、フィリピン・ペルーなどの人々の、組織化援助も視野に入れたい。また戦後教育が始まって50年が経過しているが、今もって、在日朝鮮・韓国人はその母語教育を補償されておらず、本名を名乗れない人も多い。専従をおかないため、ケースに追い立てられ、日本の社会システム取組みはほとんどできていない。教育相談では、イジメや授業についていけない、友達ができないといった心配のほかに、日本語が上達する子どもとのコミュニケーションが難しくなっていく悩みを寄せる親も多い。すでにペルー人を中心として、子ども達にスペイン語を教える試みを開始しているが、自らの出自に誇りを持つ上からも母、あるいは父のどちらかが外国人の場合の外国語教育の開始を射程に入れた取り組みを始める予定である。できれば学校教育との連携が望ましいが、とりあえずは学外でも良いから親たちを中心にし、教育の場からの問題提起を開始したい。
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